kana's booklog

i love reading books

薔薇のなかの蛇 | 恩田陸

先週、ヤフーアプリをスクロールしていたら、とんでもないニュースを発見しました。

realsound.jp

 
えっっっ!!!???

17年ぶり"理瀬シリーズ"の創作秘話!!!???

 
"理瀬シリーズ"って、私が大学生の頃風呂の中でふやけるんじゃないかというほど何度も読んだ『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『黄昏の百合の骨』……あれらの小説のことでしょ!!!???

続きが出るんですか!!!???

17年ぶりに!!!???

読みたい!!!!!!(大泣)

ということで、早速買ってきたところあっという間に読み終えてしまいました(知ってた)。

今日はその感想を書きたいと思います。

************

とはいえ、ミステリーの感想文をネタバレせずに書くの至難の業じゃないですか…?

ひとまず、あらすじを説明するために帯の文章をそのまま引用します。

英国へ留学中のリセは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」という薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。
美貌の長兄・アーサーや、闊達な次兄・デイヴらアリスの家族と交流を深めるリセ。
折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり「祭壇殺人事件」と名付けられた事件が起きていた。
屋敷の主、オズワルドが一族に伝わる秘宝を披露するのでは、とまことしやかに招待客が囁く中、悲劇が訪れる。
さながら、あの凄惨な事件をなぞらえるかのごとく。
禍々しい美しさを纏う少女が、呪われた一族の謎に挑む。

 
こういうお話です。

イギリスのとある遺跡から胴体がまっぷたつに切断されたトンデモ遺体が発見されるんですけど、

世間がその殺人事件の話題で持ちきりになっている時に、偶然か否か、今回の舞台である「ブラックローズハウス」(その響きだけでもぞわぞわする…!)でもそれと酷似した遺体が発見されちゃうんですね。

それだけでも大騒ぎなのに、それ以降も立て続けに色んな事件が起きるので、こんなに終盤まで忙しくてちゃんと収拾がつくのか、どうやってオチがつくのかと読んでいて心配になるほどでした。

なので、退屈しないお話だとは断言できます。


そういうストーリーの中で、今回「理瀬」はほとんど「リセ」として存在しているんですよね。

ひょんなことからブラックローズハウスに招かれた、美しく只者ではない客人。

お話は美貌の長兄・アーサーの視点で進んでいくので、リセがその時その時で何を考えているのかわからないし、アーサーがリセのことをめちゃくちゃ警戒しているから、リセがほんとに怪しく見えるw

読んでる私はアーサーと一緒になってリセを疑惑の目で見てるから、あんまりリセに感情移入できなくて、逆に冷静で賢いアーサーに肩入れしちゃいました。

理瀬に会いたくて手に取った本だから、そこは残念なポイントになるのかなぁ…??

でも、『薔薇のなかの蛇』がリセ vs. アーサーの序章なら、これから物語を楽しむアドバンテージを得たのかもしれません。

鬼滅の刃』が敵にも共感できる背景があることでストーリーに奥行きを得ているように、今後の理瀬シリーズが「ダークヒロイン・理瀬最高!」「でもそれを追い詰めるアーサーもめちゃくちゃいい!」っていう展開だったらお互いせめぎ合っておもしろいですよね。

続きあるかなぁ………???

あってほしい………!!!!!


あと今回は、小さな違和感を見逃さないように気をつけて読み進めたんですが、ちょこちょこそのポイントがいいとこをついていたのが嬉しかったです。

時間軸とか場所とか「考えすぎだった~!」ってポイントもあったし、普通に犯人も当てられなかったけど、楽しかったのでこれからミステリーを読む時はこの方式で行こ。

受動的じゃなく、ちょっと能動的に読む。

そして、理瀬やヨハンとの再会に沸いた割に、ブランクありすぎて細かい設定を忘れていることに気がついたので、近々ちゃんと同シリーズものを読み直したいと思います。